consumer's eye
2005.6.15〜2005.8.14
●米カード会社個人情報大量流出
 
 米クレジットカード大手「マスターカード・インターナショナル」は6月17日、米国のデータ処理会社への不正アクセスが原因でマスターカードを含め約4000万人分の顧客情報が外部に流出した可能性があることを発表した。米国内の店や米国のネットサイトでカード決済をした日本人の顧客情報が漏洩したとみられる。6月28日時点で7万7000人分の日本の顧客情報が流出した可能性があり、不正使用は約740件、金額にして約1億1000万円に上った。
 
 
●連鎖販売に取引停止命令
 
 学生らに「確実に稼げる」などと不確かな事項を告げて連鎖販売取引を繰り返していた通信販売会社「アースウォーカー」に対し、経済産業省は6月20日、特定商取引法違反(不実告知など)として3カ月の連鎖販売取引停止を命じた。学生を中心に約5000人から約12億円を集めていた。連鎖販売取引に関する同法の取引停止処分は初めて。
 
 
●イラストで表示「食事バランスガイド」を公表
 
 農林水産省と厚生労働省は、増加傾向にある男性肥満者や外食の多い単身者などにバランスの良い食事を促すため、1日の摂取量とメニューが一目で分かる「食事バランスガイド」を公表した。
 
 
●改正介護保険法が成立
 
 制度施行後、初めての改正。要介護度の軽い人を対象とした新しい介護予防サービスの導入などがポイント。10月から施設入所者の食費や居住費が自己負担となる。その他は来年4月施行。
 
 
●団体訴権に最終報告
 

 国民生活審議会(首相の諮問機関)の消費者政策部会は6月23日、悪質商法の被害にあった場合などに消費者団体が被害者に代わって訴訟を起こすことができる「消費者団体訴訟制度」の概要に関する最終報告をまとめた。適格と認めた消費者団体に不当行為の差し止めを求める「差し止め請求権」を認める内容。一方「損害賠償請求権」は見送りとなった。今後、内閣府が最終報告を基に法案を作成し、来年の通常国会に提出、成立を目指す。
 
 
●米国で2頭目のBSE牛を確認
 
 米農務省は6月24日、米国で2頭目となるBSE(牛海綿状脳症)牛を確認したと発表した。この牛は昨年11月のBSE確認検査でいったん陰性と判定されたが、日本や欧州が採用する「ウエスタンブロット法」という高精度の検査で陽性となり、英国の検査機関が最終的に感染を確認した。1頭目のBSE感染牛はカナダ産の輸入牛であったため、米政府はこれまでBSE輸入規制の対象外となる「暫定正常国」として扱うよう各国に主張してきたが、米国産牛の感染が確認されたことでその主張が崩れた。米農務省は今後のBSEの確認検査に「ウエスタンブロット法」の採用を決めた。食品安全委員会は、米国産牛の安全性を審議中であり、農林水産省は米側に詳しい情報提供を求める方針。
 
 
●遺伝子組み換え作物にWHOが安全報告
 
 世界保健機構(WHO)は6月23日、市場に流通する遺伝子組み換え作物に関する安全性や課題について報告書を発表した。遺伝子組み換え作物は一定の検査を経ており、人体の健康や環境に大きな危険を及ぼすとは考えにくいとする一方、多くの国で抵抗感が強い理由として、特許による利益独占や自国の食品安全制度への不信感などを挙げている。
 
 
●茨城県で鳥インフルエンザ
 
 農林水産省と茨城県は6月26日、同県水海道市の養鶏場「アレバメントカントウ」で国内初のH5N2型の高病原性鳥インフルエンザ・ウイルスが検出されたと発表した。昨年山口県などで確認された強毒性のH5N1型に比べ、感染力や毒性が弱い。隣接する養鶏場や移動制限地域の養鶏場でも感染が確認され、防疫措置がとられた。
 
 
●アスベスト被害次々と明らかに
 
 大手機械メーカー「クボタ」は6月29日、1978?2004年の間に旧神崎工場の従業員や出入り業者計79人が、アスベスト(石綿)が原因とみられるがんの一種「中皮腫」などで死亡していたことを発表した。その後「ニチアス」などアスベスト関連会社でも従業員や工場周辺住民に多数の被害があることが次々と明らかになった。経済産業省が建材メーカーなどを対象に行った調査では、中皮腫などによる死者は7月15日時点で374人だったが、造船業界などを加えると被害はさらに拡大するとみられる。元従業員の妻が、夫が持ち帰った作業着を洗濯する際、付着していた石綿を吸い込んで中皮腫で死亡していたことも明らかになった。政府は7月29日、アスベスト関係閣僚会議を開き、建物を解体する際の飛散防止対策の強化や石綿の使用状況を把握する全国調査など、被害の拡大防止や国民の不安解消に向けた当面の緊急対策を発表した。また石綿被害で労災認定を受けた234の事業所名を公表し、元従業員や周辺住民らに健康被害の注意を呼びかけた。
 
 
●悪質リフォーム商法で最大規模の摘発
 
 「土台にひびが入っている」などと、言葉巧みに嘘の説明をし、高齢者に不要なリフォーム工事契約を結ばせ、代金をだまし取ったとして、警視庁生活経済課は6月30日、リフォーム会社「サムニンイースト」の元幹部ら4人を詐欺と特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで逮捕した。イースト社を含むグループ数社全体で34都道府県の約6000人から総額約115億円を売り上げていた。同グループは行政指導などを受けるたびに社名や所在地を変更し、摘発を逃れていたことも明らかになった。悪質リフォーム被害が全国で相次いでいることから、政府は7月13日、悪質事業者に対する行政処分の厳正な実施や警察による取り締まりの強化、認知症の高齢者に対する成年後見制度の利用促進など、緊急対策を発表した。
 
 
●最高裁「貸し金業者に取引履歴開示義務」の初判断
 
 大阪府内の女性が消費者金融会社「キャスコ」に対し、借り入れ返済の経過を記録した取引履歴を開示しなかったのは違法だとして慰謝料などを求めた訴訟の上告審判決が、7月19日に最高裁第三小法廷であった。判決は、「貸し金業者は借り手側に取引履歴を開示する義務がある」との初判断を示し、請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を差し戻した。多重債務者は借金額や返済額を把握していない場合が多く、取引履歴の開示拒否で債務内容を正確に把握できない場合や過払い金の返還請求ができず不利益を被る場合がある。一方貸し手側は利息制限法を超える利息をとっていた場合、取引履歴を開示することで過払い金を請求される恐れがあるため、開示を拒むケースが増え、トラブルが多発していた。
 
 
●スパイウエアで預金引き出し被害
 
 見知らぬ相手からのメールに添付されたファイルを開いた際、パソコンがスパイウエアと呼ばれるウイルスに感染してパスワードなどが盗み出され、預金が不正に別口座に送金される事件がみずほ銀行、イーバンク銀行、ジャパンネット銀行で起きた。7月19日時点で9件、被害額は940万円に上る。全国銀行協会は対策強化の方針を発表した。
 
 
●「敷引きは無効」の判決
 
 賃貸マンションなどを明け渡しする際、敷金や保証金の一部を差し引く「敷引き」は無効だとして神戸市の男性が不動産業者を相手に25万円の返還を求めた控訴審判決が、7月20日までに神戸地裁であった。関西地方で慣行となっている敷引きは「貸主が借り主に一方的に押し付ける不合理な負担であり、消費者契約法により無効」として神戸簡裁判決を取り消し、請求額全額の返還を命じた。控訴審で敷引きの無効が認められたのは初めて。
 
 
●平均寿命は5年連続過去最高
 
 厚生労働省が発表した04年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性が85.59歳、男性が78.64歳となり、ともに5年連続過去最高を更新した。「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の三大疾患が克服できれば、女性で7.94年、男性で8.74年、さらに平均寿命が延びることが分かった。
 
 
●金融機関が顧客情報を大量紛失
 
 金融庁の調べによると銀行や保険、証券会社など全国1000余りの金融機関に顧客情報管理の一斉点検を求めたところ、287の金融機関が678万件の個人情報を紛失していたことが分かった。点検対象外の紛失も含めると862万5000件に達した。誤って破棄したものが大半で今のところ不正利用はないというが、金融機関のずさんな管理体制が明らかになった。
 
 
●最高裁判断を機に「アイフル」を集団提訴
 
 7月19日、最高裁が「消費者金融会社に借り手本人の取引履歴を開示する義務がある」との判断を示したことから、全国の多重債務者ら448人が同25日、消費者金融大手「アイフル」を相手取り、利息制限法の上限を超えて支払った過払い金の返還や、同社に取引履歴の開示を拒否されたことに対する精神的慰謝料を求める訴訟を28府県の25地裁・支部、67簡裁に起こした。請求額は計約3億4000万円。
 
 
●「ステーキ」の牛肉にも原産地表示
 
 農林水産省は、レストランなどのメニューで、主な原材料に「原産国名」などを表示する「外食における原産地表示に関するガイドライン」を決定し、7月28日、都道府県や関係団体に通知した。
 
 
●賞味期限を偽装して再出荷
 
 業務用の加工油脂製造大手「旭電化工業」が売れ残った商品の製造年月日や賞味期間を1〜3カ月延長し、長期間にわたって偽装・再出荷していたことを7月29日、明らかにした。偽装していたのはマーガリンやマヨネーズ、パイ生地など。同社は安全性に問題はないとしている。
 
 
●省令改正後もBSE全頭検査は続く
 
 生後21カ月以上の牛を全頭検査の対象とするBSE特別措置法に基づく省令改正で、8月1日から生後20カ月以下の牛は検査義務がなくなった。検査の継続を望む消費者に配慮し、自主的な全頭検査を続ける自治体に政府が最長3年間検査費用を全額補助するため、全自治体で全頭検査が継続される。
 
 
●偽造・盗難キャッシュカード預貯金者保護法が成立
 
 偽造・盗難キャッシュカードによる不正な預貯金の引き出し被害について、預金者に過失がなければ金融機関に全額補償を義務付ける。預貯金者に過失がある場合も金融機関が立証責任を負う。来年2月施行。


●赤字幅が3倍以上に拡大

 国民年金の04年度収支は、前年度の500億円の赤字から1707億円の赤字へと3倍以上に拡大した。厚生年金は企業の厚生年金の代行返上にともなう移管で生じた「臨時収入」があったため、2359億円の黒字となったが、実質的には5兆円を超える赤字であった。


●刑法犯は減少傾向に

 警察庁のまとめによると、今年上半期に全国の警察が認知した刑法犯は前年同期比12.9%減の111万1581件だった。振り込め詐欺全体の認知件数は前年同期比11.2%増の1万1567件で、被害総額は同37.5%増の118億8000万円に上った。このうち多重債務者に融資を持ちかける「融資保証金詐欺」件数は223.2%増、使った覚えのないアダルトサイトなどの「架空請求詐欺」件数は28.5%増。「おれおれ詐欺」件数は4割以上減少したが、内容はこれまでの「交通示談金」から「痴漢示談金」などに移っている。


●食料自給率40%

 04年度の食料自給率はカロリーベースで40%となり、7年連続横ばいとなった。



 くらしのことば
アスベスト(石綿)


 天然にある繊維状の鉱物。耐久性、耐熱性にすぐれ、腐食しにくく、加工しやすいことなどから建築材料など幅広い分野で使われてきた。髪の毛の5000分の1程度の微細な繊維片であるため、空中に飛散しやすい。肺に入り肺がんを発症するまで15年以上、中皮腫は40年前後かかるといわれ「静かな時限爆弾」と呼ばれる。国内で大量に使用された時期からみて、今後40年間で約10万人が中皮腫で死亡するという研究者の推計もある。
  国際労働機関(ILO)は1972年に発がん性を指摘したが、日本では1975年に建設現場での吹きつけを原則禁止したものの青石綿、茶石綿の製造・輸入・使用禁止は1995年、白石綿の原則禁止は2004年と対応が遅く、全面禁止は2008年になる予定。8月11日、政府はアスベストによる健康被害から労働者を守る「石綿使用安全条約」の批准書をILO事務局に寄託した。同条約は1986年に採択されており、日本は19年ぶりに批准した。1年後に効力を持つ。

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