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 この8日、越年のための炊き出しが毎年行われる釜ヶ崎へ行った。地下鉄「動物園前」駅を出たあたりから人出が多い。西成警察署の前までくると警察署の建物をぐるりと取り巻くように長蛇の列ができている。列の前方は避難所(シェルター)の入口で、最後方は「あいりんセンター」の建物あたりまで、数百メートルにもおよんでいる。おそらくシェルターの収容能力を超える人数だろう。訪れたのは午前11時。景気のよいときなら、住人の大半は日雇い労働に出ていて、割合に人気のない時間帯のはずだ。通常ならシェルターは比較的不人気で、ドヤに泊まれない人たちがやむを得ず一夜を過ごすと聞いていた。並ぶ時間も午後3時頃からぼつぼつと列ができ、それでも今回ほど長蛇の列にはならないそうだ。

 さて、記者が炊き出し現場の、通称・三角公園に到着したとき、作業は最終準備段階に入っていた。狭い三角公園の片隅にテントが張られ、大釜でなにやら煮られている。食器や残滓処理用のバケツなどがセットされ、ボランティアが大勢準備作業に走り回っている。11時を10分ほど過ぎた頃「いまから配ります」のアナウンスがあり、あらかじめ整理券を受け取っていた者から順に割り箸を受け取り、白いドンブリ状のプラ容器に入った食べ物を受け取る。今回は500人分ほど食事が用意されているという。
 ドンブリを受け取った人は、その瞬間から食べ始める。歩きながら食べる者、少しはなれてしゃがんで食べる者、それぞれだ。次第に食べ物を受け取るカウンターの前が混雑し始める。ボランティアのおっちゃんが、柵の上から声をあげる。「通路をあけてや。食べたら食器を洗って返してや。捨てたり、もって帰ったりしたらあかんで。高いところから見てんのやさかい、全部見えんねんで。ほらそこ、鳩にやったらあかん。ほれ、鳩を追っ払ったらホコリがたつやろ。食事してんねんから」

 メニューを選択することもなく、座る場所もなく、人間らしく食事をする「かたち」も与えられず、ただ今日明日を生き延びるための食事風景が目の前で展開されている。

 この光景がちょうど1時間続き、そして命をつなぐ炊き出しは終わった。

 がらんとした公園の風景を見ながら「この先、社会はどうなるのだろう」とつくづく感じた。わずか数百メートル離れた大阪「ミナミ」の繁華街・難波は、昼食をとったり、買い物をしたりする人たちで混雑している。全く異なる2つの風景が並存する現状を解釈し、理解することは困難だ。生物としての人間と、社会構成要因としての人間。それが矛盾なく成立しなければ社会の歪みはなくなりそうもない。どんなに立派な経済理論を確立しても、財政再建のための政策を展開し行政の建て直しを図っても、永続的に炊き出しの必要性を求める人たちの前では全く無力だ。
 大阪でも、減少傾向に入ったといわれる野宿者の数だが、経済政策破綻の波は、これから否応なく野宿者を増やしていくだろう。『少富多貧社会』が現実化しつつある中で、最底辺に組み込まれた人たちの選択肢はほとんどない。『平成一揆』がなぜ起こらないのか不思議なぐらいだ。
(和泉次郎)



| 取材現場ウラ話 | 05:11 PM | comments (0) | trackback (0) |










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